りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

大いなる眠り(レイモンド・チャンドラー)

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フィリップ・マーロウ・シリーズ」の第1作であり、ハードボイルド史上の古典ともなっている作品です。「軽妙な語りを得意とする主人公、裏がありそうな依頼、謎めいた美女からの誘い、探偵への脅迫と暴行、無関係に見える連続殺人事件、ほろ苦い真相」という「ハードボイルドの黄金律」は、この作品で確立されました。

マーロウがスターンウッド将軍から受けた依頼は、次女カーメンが非合法の賭場で作った借金の件で強請られている問題を解決すること。ところが強請の張本人ガイガーは殺害され、今度はカーメンの全裸写真をネタにした新たな脅迫者が登場。しかし、その人物もまた殺害されてしまうのです。

一連の事件の背景には、長女ヴィヴィアンの夫ラスティーの失踪事件があるのでしょうか。ラスティーは、
カジノを経営している裏社会のボスの妻と駆け落ちしたとも噂されているのですが・・。次女カーメンは、麻薬でハイになっているだけの、無垢な美女なのでしょうか。真相は、思いがけない形で明らかにされることになります。

村上春樹さんの新訳が、いいですね。全7作の長編のうち、5作までが刊行されています。高い窓の巻末に、全部の翻訳を試みるつもりであることが記されていました。残り2冊の新訳を、楽しみに待ちましょう。

2015/11