りぼんの読書ノート

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バーにかかってきた電話(東直己)

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シリーズ第2作である本書は、映画「探偵はBARにいる」の原作にもなっています。

「コンドウキョウコ」を名乗る女性からの電話の依頼で、ある弁護士に奇妙な伝言を届けた「俺」は、いきなり襲われて雪原に埋められてしまいます。辛くも脱出した「俺」は暴行が警告であることを承知しながらも調査を開始し、依頼の背景にあるのが札幌の再開発絡みの放火殺人事件と、その後の実業家殺人事件であることを推測します。しかし近藤京子という女性は、放火事件の犠牲者だったのです。

一方で、謎の女性からの電話での依頼は続きます。依頼人の意図は謎ながら、殺害された実業家・霧島の元妻で、加害者とおぼしき男と再婚を決めたクラブオーナーの沙織が、全ての事件の黒幕と考えればつじつまがあい、沙織への復讐が動機だと推測をするのですが・・。

ハードボイルド小説の基本プロットとは、「美女の依頼」→「一見無関係な事件」→「探偵への恐喝と暴行」→「意外な事実が判明」→「ほろにがい真相」という流れだそうです。電話での依頼なので、依頼人が美女化どうかは最後までわからないのですが、本書も基本プロットに忠実な作品ですね。ミステリとしても優れており、映画化されたのも頷けます。

2017/4