りぼんの読書ノート

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GOSICK 6 仮面舞踏会の夜(桜庭一樹)

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1924年春、ヨーロッパの小国ソヴュールに極東から留学してきた久城一弥が、ゴスロリ天才少女のヴィクトリカと繰り広げるゴシック・ミステリの第6巻。前巻GOSICK 5 ベルゼブブの頭蓋で、リトアニア修道院から辛くも脱出したヴィクトリカと一弥は、豪華列車オールド・マスカレード号で帰国の途につきました。しかし、列車の中で再び事件に巻き込まれてしまうのです。

同室になった者たちは、「孤児」と名乗る少女。「公妃」と名乗る中年女性。「木こり」と名乗る学生。「死者」と名乗る壮年男性。もっともヴィクトリカと一弥も「灰色狼」と「家来」と名乗るのだから、そこはいい勝負。しかしゲームの最中に殺人事件が起こるのです。嘘をついているのは誰なのか。それとも全てが嘘なのか。修道院から持ち出した「形見箱」の秘密は何なのか。やがて列車は暴走を始めるのですが・・。

事件の背景には、やはりソヴュール帝国内のオカルト省と科学アカデミーの対立がありました。ヴィクトリカの推理が冴えわたるのは当然ですが、子供たちを政治的に利用するやり口への強い反感も現れるのは第1巻の「クィーンベリー号事件」と同様です。

事件を通じて、2人の信頼関係も深まったようです。「再び混沌に満ちてきた世界」で「二度目の嵐の予感」もある中で、2人は予言を覆して離れずにいることができるのでしょうか。シリーズはクライマックスに入っていくようです。

2017/4