りぼんの読書ノート

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下妻物語(嶽本野ばら)

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2004年に映画化され、深田恭子ロリータ・ファッション土屋アンナのヤンキー姿が見事にはまっていた作品です。舞台となった茨城県下妻市は、何度か通ったことがあるのですが、小説にも登場するジャスコと3本の国道(125号、294号、357号)以外は、印象の薄い町でした。この映画を観るまでは。

竜ヶ崎桃子。徹底した個人主義者で、独特のロリータ・ファッション理論とセンスを持つ女子高生。尼崎から追い出され、妻にも逃げられたダメ父親についてきて下妻に転校。天才的な刺繍の才能と、たぶんパチンコの才能を持っています。

白百合イチゴ。暴走族のレディース「舗爾威帝劉(ポニーテール)」一員で、族仕様に改造した原付を転がす女子高生。かなりのお馬鹿ながら、独特の筋は通す友情に熱い女。実は、門限は厳守している良家の一人娘であり、後にモデルとしてもデビューする美女なのです。

本書は、偽ヴェルサーチがきっかけで出会った、外見は全く正反対ながら、どこか似ているところもある2人が、徐々に友情を深めていく物語。ロリータもヤンキーも、「人は最後は一人だからこそ、他人の生き様を尊重できる」という「女の友情」が、独特の空気感を生み出しました。

クライマックスは、トップだった亜樹美さんが引退して変質したレディースと対立して、「ケジメ」をつけるというイチゴを、生まれて初めて原チャリに乗った桃子が救出に行くシーン。映画では桃子が「伝説のレディース、ヒミコの娘」と凄むのですが、原作では「謎のヨーヨー」が使用されています。どっちも、相手が勝手に誤解するのですけれどね。

2015/8