りぼんの読書ノート

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喪の女王 5~6(須賀しのぶ)

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ユリ・スカヤ王国の新女王となったネフィシカは、ザカリエ女神への帰依を明らかにします。エティカヤ王国のバルアンとは崩壊寸前のルトヴィア帝国の分割の密約を交わす一方で、亡国のザカールの民を糾合すべく「女神の娘」であるカリエをミゼーマ宮に幽閉。そしてサルベーンに「女神の化身」である可能性を秘めたカリエの娘セーディラを追わせます。

ついにサルベーンと、カリエに託された幼いセーディラを護るエドとの最終対決。勝利するのは、女神の幻を追い続けたサルベーンなのか。神の存在に動じず全てを受け入れてきたエドなのか。負傷癒えて再登場したラクリゼは、「女神の花嫁」としての役割を果たし終えたかのようです。エドが亡き母アリシアを理解するようになるくだりは、本筋とは直接関わりないものの、なかなかの筆致。

そんな中で、ルトヴィアで孤軍奮闘してきたドーン皇帝の暗殺未遂事件が起こります。これは滅びの始まりなのでしょうか。己の醜さを恥じて、ドーンのためにグラーシカ皇后との和解を心から望むようになったセラの祈りは通じるのでしょうか。宰相ロイや各国の思惑がきしみをあげる中、暗闇を彷徨うドーンにザカリエ女神の囁きが聞こえてきます。「ザカリエに従えば国を救う」と・・。ドーンこそが、かつてザカリア女神を封じたタイアス神の最後の依り代だったのですね。

人間の意志の力を信じて、ミゼーマ宮からの脱出をもくろむカリエ。セーディラを連れてカリエとの再会の機会を待つエドラクリゼ。ドーンを救うためにルトヴィアに帰還しようとするグラーシカ。ザカリア女神の道具と化したようなネフィシカ。戦火を望むバルアン。全ての人々の思いがエンディングに向かって流れていきます。残り2巻!

2013/11