りぼんの読書ノート

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女神の花嫁(須賀しのぶ)

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全27巻の大作流血女神伝の外伝は、「女神の花嫁」としてカリエを救ってきたザカールの美女ラクリゼの物語。もともと著者には、このシリーズをカリエとラクリゼのダブルヒロインで綴るとの構想もあったとのこと。

太古のザカリア女神の定めにより、ザカールの長老の子は代々「女神の娘」を娶る男児であったのですが、999番目の子として生れたラクリゼはなぜか女児。「呪われた子」として父親の愛も受けられず、男児と偽って育てられた彼女は、12歳のときに1人の少年と運命の出会いを果たします。

少年の名はサルベーン。外界から孤立したザカールの村から出奔した裏切り者の女の息子。いつしか悩みを分かち合い心を許し合った2人は、結界を破って村を脱出し、ホルセーゼ傭兵団にたどり着きます。そして、傭兵団の守るギウタ皇国の首都ヨギナに迫る最後の日。

本書は、自らの出生を恨んでいたラクリゼが人間性に目覚め、「女神の娘」カリエと出会って自分の使命に気づくまでの物語。その過程で、それまで謎に包まれていた「流血女神ザカリア」の伝説が明らかにされていきます。やはり、カリエとラクリゼが最後に対決すべき相手は女神なのでしょう。

蛇足になりまずが、やっぱりサルベーンは「ヘタレ」でしたね。ラクリゼによって虚無から救われたにもかかわらず、彼女への想いは「女神信仰の代替」でしかなく、最後の最後に裏切るのですから。さて、次は本編の第4部『喪の女王』です。エティカヤに戻ったカリエには、どのような運命が待っているのでしょうか。

2013/10