りぼんの読書ノート

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砂の覇王 9(須賀しのぶ)

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全27巻の大作流血女神伝の第2部「エティカヤ編」の最終巻です。逃亡の旅の途中で罠にはまり、エティカヤ王国の第2王子バルアンの奴隷として売られたカリエの運命は、後宮の愛妾候補から死刑囚へ、男装の小姓から正妃へ、はたまた海賊から隣国の皇妃候補へとめまぐるしく変転。その間、彼女の正体は「亡国ギウタ王国最後の皇女カザリナ」であり、古代に滅びたザカールの民が信奉する「流血女神ザカリアの娘」として選ばれた存在であることも明らかになりました。

しかし最後にカリエが選択した道は、父王の死により第1王子シャイハンとの後継者争いに挑むバルアンの正妃として、夫と運命をともにすることでした。海賊に襲撃された後のバルアンの生死を把握していないシャイハンを殺害すべくヨギナ宮に乗り込んだカリエでしたが、思いがけずに優しく紳士的なシャイハンの人柄に惹かれてしまい、彼女の心は揺れ動きます。

そんな中でバルアンが姿を現して霊峰に登頂したとの知らせが入り、彼こそが正当な後継者なのではないかとエティカヤの宗教界は動揺。時を逸せずに地方軍を動かし、シャイハンを支持する強大な正規軍と対峙するバルアン。ヨギナは再び戦火に包まれることになるのでしょうか。そしてカリエの運命は・・。また、ザカールの復興を望むラクリゼ、サルベーン、トルハーンはどう動くのでしょう。ついでに、本編でほとんど出番のなかった剣士エドの動向は?

これだけ広がった物語が、最終巻にふさわしく綺麗に纏まりました・・と言いたいところですが、「流血女神ザカリア」の謎は深まるばかり。女神はカリエに何をさせようとしているのか。カリエは女神と対峙することができるのか。長いシリーズですが、最後まで読まないわけにはいきません。

2013/10