りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

喪の女王 1~4(須賀しのぶ)

イメージ 1

流血女神伝シリーズ」の最終第4部の開始です。人間としての意思を信じて「ザカリア女神の花嫁」としての運命を振り切り、ザカールから脱出したカリエは、リウジールの子を宿したまま北の王国ユリ・スカナへと向かいます。旅の途上でカリエが産み落としたのは、まさかの女の子。カリエの子は、千人目の運命的なクナムとなる男児のはずだったのに。これは彼女がついに女神の手を振り切ったことを意味しているのでしょうか。それとも・・。

セーディラと名づけた娘を守りながら、ユリ・スカヤ王国のイーダル王子のもとに匿われたカリエ。しかしその時、王国の近代化を独力で成し遂げた偉大な女王バンディーカは、ついに病に倒れようとしていました。彼女の脳裏に浮かぶのは、同じセーディラという本名を捨て去って王位への道を歩んだ血塗られた過去の中でもとりわけ忌まわしい、封印していた記憶。そして、母王を憎み続けた末にザカリア女神を信じるに至った長女ネフィシカが、ザカールの血を引く夫を得て玉座へと登ります。

辺境の修道院に逃れたカリエの娘・セーディラも、不思議な能力を発揮し始めます。ザカール再興のために執拗にセーディラを追うネフィシカの手から、カリエは娘を守りきることができるのでしょうか。そしてどこまでも人間の意志を信じ続けるカリエの愛は、娘を神の道具ではなく人間として育てあげることができるのでしょうか。

運命の変転がもたらすカリエのコスプレぶりも、ひたすらカリエを守り続けるエドの地味なキャラも、サルベーンの変節漢ぶりも健在です。イーダルの本性も明らかになるのですが、それは本心でしょうか。でもザカールに留まって治療を続けているラクリゼが、力を失ったまま出番がないのはどういうこと? カリエを失ったエティカヤ王・バルアンの動きも、ルトヴィアの統治に失敗しつつあるドーンとグラーシカの動向も気になります。

タイトルの「喪の女王」とは2人のセーディラのことですね。さまざまな興味を繋ぎながら、物語は後半へとと加速していきます。

2013/11