りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

十二国記 ⑦華胥の幽夢(小野不由美)

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シリーズの外伝的な短編集です。表題作を除いては、これまで登場してきた人物のエピソード。

「冬栄」 反逆者の襲撃によって異界へ飛ばされてしまう泰麒が、その直前に漣国に赴いた際のエピソード。泰王驍宗を選ぶという大役を果たしたものの、いまだ無力感を拭えずにいる幼い泰麒は、農作業にいそしむ廉王と出会って「見守る大切さ」を学びます。

「乗月」 峯王仲韃の大逆を煽動した月渓のもとに、慶国王となった陽子から親書が届きます。王に立てば簒奪、立たずば国の荒廃を見過ごすという葛藤の中で月渓の悩みは尽きないのですが、彼の手で追放した元公主の祥瓊が居場所を得たことには明るさを感じます。

「書簡」 かつて陽子を助けた半獣の楽俊は、大学入学を果たして学生生活をおくっています。即位したばかりで自身を持てない頃の陽子との手紙のやり取りが微笑ましいですね。

「華胥」 国のあるべき姿を見せてくれるという、才国の宝重・華胥華朶の枝で自らを傷つける采麟は病んでしまったのでしょうか。麒麟が病んだ国は立ち直ることができるのでしょうか。王のかつての盟友であった大司徒の朱夏は、王が陥った陥穽に気付くのですが・・。

「帰山」 善政を敷いて大王朝への道を歩むかに見えた柳国が荒れ始めています。奏国王の次男の身分を隠して各国を放浪する利広は、国が滅びる原因を考えます。全ての王朝はいずれは滅びる定めなのでしょうか。

短編集もいいけれど、本編の続編があるのかどうか・・知りたいものです。

2012/12