りぼんの読書ノート

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十二国記 ⑥黄昏の岸 暁の天(小野不由美)

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第2部風の海 迷宮の岸で泰王驍宗と巡りあい、幼いながらも麒麟の役目を果たした泰麒を恐るべき災厄が襲います。疾風の勢いで戴国を整えつつあった驍宗が反乱鎮圧に赴いたまま行方不明となり、襲撃されて角を折られた泰麒は、鳴蝕を起こして異界に姿をくらましてしまうのです。

泰麒が異界で懊悩する中で戴国には偽王が立ち、国土は荒廃していきます。謀反人の汚名を着せられた李斎は、慶国王の陽子を頼りボロボロになって慶にたどり着くのですが、そう簡単には解決できません。この世界には、他国に干渉してはいけないという天理があったんですね。陽子は天命の意味を疑い出します。このあたり『史記』で「天道、是か非か」と渾身の問いを投げかけた司馬遷みたいだなぁ・・。

悪臣を除いて国作りを始めたばかりの慶国には、天意に背いてまでして他国を助ける余裕などないのですが、陽子はできる限りのことを行います。そしてついに諸国の王と麒麟を動かして、前例のない共同作戦が始まるのですが・・。

友人として陽子に仕える祥瓊や鈴や謀反の仲間たちが作る、慶の朝廷は簡素で風通しが良さそうです。政治には素人ばかりですが、賢者の太輔もいますし、まぁ何とか動いていくのでしょう。問題は麒麟の力を失った泰麒たちの、戴国復活を賭けた戦いの行方なのですが、続編は書かれるのでしょうか。ここで放り出して欲しくはないのですが・・。

古代中国の世界観に範を取りながら、独自の世界を作り上げたった長いシリーズも、最後に短編集を残すだけになりました。これ、アニメにもなっているんですね。そちらも楽しそうですが、見る機会はないかな。

2012/12