りぼんの読書ノート

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鯖猫長屋ふしぎ草紙 10(田牧大和)

不思議な能力を有する美猫サバと、その飼い主でありながら下僕のように仕えている元盗賊の売れない絵描き・拾楽を主人公とするシリーズも、10作めになりました。それぞれ過去を持つ「鯖猫長屋」の面々も、定回り同心の「成田屋の旦那」も、全てを見通しているかのような「二キの旦那」も、もうお馴染みの存在になっています。

 

この巻では「鯖猫長屋」に入居したいという元拝み屋の男が登場。「まじない札」を書いて怪しげな商売をしているという男は、いったい何をたくらんでいるのでしょう。サバは、男が連れている狼犬「天」のことは気に入ったようなのですが。その一方で、前巻から登場したワケアリの蘭方医「永徳」は、拾楽の正体を知ったうえで彼に好意を向け続けているようです。

 

そんななかで、拾楽に思いを寄せている長屋の娘おはまからの邪気のない頼み事を受けてしまったのですが、それは元拝み屋や蘭方医とも関りのあることでした。そしておはまの奉公先である大店のお嬢様に危機が迫っていたのです。もちろんサバたちの活躍で未然に防ぐことができたのですが、拾楽をめぐる不思議な人間模様は、この先どうなっていくのでしょう。サバの妹分である美猫のサクラも、奇妙な能力を発揮し始めたようで、気になります。

 

2024/6