りぼんの読書ノート

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鯖猫長屋ふしぎ草紙 4(田牧大和)

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かつての義賊「黒ひょっとこ」で今は画描きの青井亭拾楽が、鯖縞模様が美しいオス三毛猫サバと移ってきた長屋を舞台とする、ちょっと不思議なお江戸ミステリの第4弾。たびたび霊感を発揮して長屋の危機を救ってきたサバに敵対するライバルが登場します。

サバの妹分さくらに対する化け猫疑惑。長屋に住む料理人の兄貴分をたぶらかすまじない師。とある大店に後妻として迎えられた若奥様の突然死。長屋の差配が若奥様の形見分けで貰った小箱に隠されていた猛毒。これらの事件の背景にいたのは何者だったのでしょう。拾楽はサバとさくらに懸けられた濡れ衣を晴らすべく、芝居好きの同心とともに捜査に乗り出すのですが・・。

拾楽が長屋に隠れ住んで「誰か」を待っているという、シリーズを貫く謎の解明は今回もおあずけでしたが、人情時代劇としての高い水準は保っています。実情もわからないまま、人をかばってはいけませんね。その人を疑っていることになるのですから。

2019/3