りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ヴィオラ母さん(ヤマザキマリ)

f:id:wakiabc:20220112074952j:plain

テルマエ戦記』を読んで、規格外の漫画家ヤマザキマリさんを産み育てた、破天荒な母親リョウコさんに関心を持ち、本書を読んでみました。すごい。まるで「朝ドラ」のような人生です。

 

簡単に略歴を纏めてみましょう。1933年に神奈川県鵠沼で生まれ、お嬢様育ちだったにもかかわらず、27歳の時に新設された札幌交響楽団に入団するために会計事務所を辞めて北海道に移住。指揮者の男性と恋をして長女マリを生んだものの夫は他界。しばらくシングルマザー生活をしたのちに再婚して次女を得るが遠距離結婚生活は破綻。近所の子供たちに楽器を教えながら2人の子どもを育て上げた女性です。しかし彼女の魅力は、そんな略歴だけでは語り切れません。

 

お金のことは気にせず、他人との同調圧力など無視し続け、子育てに対する心構えも意気込みも方針も持つことなく、ただ単に娘たちを愛して育てたことが、いかに「異常」なことであったかが、本書の中で繰り返し語られています。著者が留学先のイタリアから、未婚で生んだ子供を連れて帰ってきた時も動じなかったというエピソードひとつだけでも、その一端を伺い知れますね。著者は「サウンド・オブ・ミュージック」の主人公であるマリアが「リョウコの理想の女性像だったのではないか」と語っていますが、母親に確認したことはないそうです。

 

2022/2