りぼんの読書ノート

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ひとの恋路をジャマするヤツは(堀川アサコ)

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舞台は青森。主人公は2人の独身女性たち。女優としてデビューしながら不倫騒動でたたかれ、東京から逃げかえってきてタクシー運転手となった和子と、小学校の教師となってイジメ問題に向き合っている従姉の薫。 

 

和子と同居している2人の祖母・鯛子はイタコなので、著者のデビュー作である『たましくる』のような世界を想像してしまいますが、彼女はヒントを与えるだけ。事件と向き合うのは、少々頼りない2人組なのです。 

 

突然真っ二つに割れた花嫁人形は、独身のまま亡くなった男性の結婚相手として捧げられた「冥婚人形」でした。普通は親が捧げるのですが、この人形は元カノによって持ち込まれたもの。しかもその女性は、薫の教え子である問題児のシングルマザーだというのです。ではその男性は冥婚を断って元カノに執着しているというのでしょうか。和子と薫は、倒産した会社の横領事件、シングルマザーの駆け落ち事件へと繋がっていく一連の騒動を治めることができるのでしょうか。そしてそこには、2人の恋愛事情も絡んでくるのです。 

 

著者の一連の著作と同様に、楽しめる作品でした。和子と薫の恋人候補たちが関係してくるサイドストーリー「何となれば、愛」が併録されています。 

 

2020/6