火盗改方与力の娘・結寿と八丁堀同心・妻木道三郎は、狸穴界隈で起こる事件の謎を解くうちに、互いを思いあうようになっていきます。しかし火盗改と町方は犬猿の仲であることに加え、旗本身分の与力と同心では身分違い。しかも結寿より１０歳も年上の妻木は、息子を持つ寡夫であることも判明。息子の彦太郎は好少年で結寿になついているんですけれどね。
そんな中で結寿に縁談が起こります。身分も財産も年齢も申し分ない相手であり、父親の上司である組頭が間に入っているとなると、武家の娘としては断るという選択肢などありえないのです。道三郎への恋情を押さえがたい結寿の心は揺れ動きます。そんな２人が関わった事件は、はからずも恋心が関わるものばかり。美男の当主を慕ってしまった女中、物騒な相手に惚れてしまった寡婦、母親が駆け落ちした相手を仇と狙う青年、幼馴染を忘れられない武家の若妻・・。はたして２人の恋の行方は？
他にも老女が唯一心を安らげる相手の飼い猫が行方不明になった事件、旗本の放蕩息子が家宝の刀剣をヤバイ相手に売ってしまった事件などが起こりますが、これらは結寿の心の整理がついた後のこと。詳しく書くとネタバレになってしまいますので、このあたりで止めておきましょう。
2020/1
