りぼんの読書ノート

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まんまこと6 ひとめぼれ(畠中恵)

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しゃばけシリーズ」とは異なって、時間が流れている「まんまことシリーズ」ですが、妻のお寿ずを亡くした麻之助にはなかなか新しい恋は訪れません。心の痛みが完全に癒えることなどないのでしょうが・・。この巻では、いつの世でも思い通りにならない人間模様が描かれます。

「わかれみち」
お由有にひどい仕打ちをしながら何食わぬ顔で江戸に舞い戻っていた男は、おとなたちの鮮やかな手口で再び江戸から追放されます。しかし、その恨みが思わぬ形で跳ね返ってくるのです。同心株を買った町人の息子に殺人容疑がかけられたのは、何故だったのでしょう。

「昔の約束あり」
盛り場で喧伝された縁組の約束など、当人たちには覚えがありません。麻之助の友人・清十郎の新妻・お安、吉五郎の許婚・一葉、金貸し・丸三の若い妾・お虎の女性陣が、問いただしに行ったところ、そのまま行方不明になってしまいます。実はその約束は、ある旗本との縁組を嫌がっている女性の芝居にすぎなかったのですが。

「言祝ぎ」
亡き妻そっくりの妹・おこ乃に持ち込まれた3つの縁談を調べるよう依頼された麻之助は、心が揺れてしまいます。しかし3人が3人とも、彼女本人ではなく、彼女に付随する別のものが目当てだったようです。

' 「黒煙」'
火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれてしまいます。店の主人の息子が取り残された背景には、主人の亡妻の幽霊話や、再婚話や、高価な櫛の紛失事件が関わっていたのです。関係者たちが
腑に落ちない点を繋ぎ合わせると、ひとつの答えが浮かび上がってくるのですが・・。

「心の底」
行方不明になった許婚の男を捜して欲しいという娘の依頼で、探すため東海道へと旅立とうとする麻之助でしたが、その男を江戸で見かけたという噂が伝わってきます。彼の失踪は縁談に関係していたのでしょうか。

「ひとめぼれ」
吉五郎の許嫁である養子先のひとり娘・一葉に近づいてきた男は、何を狙っていたのでしょう。しっかりしているようでもまだ12歳の一葉は、男の甘い顔立ちに夢中になってしまった様子。現実の厳しさを理解している周囲の大人たちは分別ある決着をつけるのですが、吉五郎と一葉の関係はもとに戻るのでしょうか。


2017/12