りぼんの読書ノート

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水滸伝4(北方謙三)

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江州にたどりついた宋江らの一行は、青蓮寺の幹部である黄文炳に居所を掴まれて大軍に攻囲されてしまいます。穆弘と李俊の手勢が宋軍と死闘を繰り広げますが、遠い梁山泊からの救援は間に合うのでしょうか。原典でも前半のハイライトである江州の戦いですが、さすが北方さんの描く戦闘場面は大迫力。 

 

一方で宋を裏から動かしている間諜組織である青蓮寺は、まだ宋江の重要性を認識していません。さらには盧俊義が率いる闇塩の道や、各地で蜂起しつつある山塞と、梁山泊本体との日設な関係を完全には把握できていないようです。 

 

しかし青蓮寺の幹部である李富は、宋江が殺害したとされている閻婆借の母親・馬桂に目を付け、彼女と深い関係を結ぶに至ります。彼女を二重スパイに仕立て上げることが目的なのですが、ひとりの人間から完全な信頼を得るためには、まず自分も本気で彼女を愛し切らなければなりません。青蓮寺総帥の袁明は、その危険姓に気づいていましたが、それを乗り切れるかどうかは李富次第。そしてその時に李富がひとまわり大きな存在となることも予測していたようです。実際に彼は、このシリーズの裏主人公的な役割を担っていくことになります。 

 

そこまでして青蓮寺がターゲットとしている要注意人物は楊志です。宋建国の英雄・楊業の末裔であり、宋江晁蓋に匹敵する指導力を有する人物とされる楊志は、二竜山の頭領として梁山泊に鍛えた新兵を送り込む役割を担っていました。その一方で妻の済仁美とともに、孤児だった楊令を養子として育てていたのですが、この少年が後に革命運動の中心となっていくとは、この時点で誰が想定できていたでしょう。 

 

2019/10再読