りぼんの読書ノート

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第九の日(瀬名秀明)

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瀬名さんの「ロボット小説」は4作目。シリーズ化しつつあるようです。前作『デカルトの密室』の、祐一、玲奈、ケンイチが再登場する短編集。祐一が製作して「育てた」ロボットであるケンイチが、ひとりで、あるいは玲奈とともに出会う、事件の数々。それは全て「ロボットの主観問題」がテーマになっています。

「心」を規定するのは、器である身体の能力なのか。ロボットに近づく身体を持ったサイボーグは、何を思うのか。ロボットは「心の痛み」を感じることができないのか。かつて人工知能とは、人間がはるかに及ばない高度な演算能力と、膨大な記憶容量のさらに先の世界にあると考えられていました。スーパーコンピューターの延長線上ですね。

どうやら、作者の回答は違うようです。難しいのは、人間ならほとんど誰でも持っている「日常処理能力」。それこそは、「ある視点から世界を認識すること」に他なりません。必要なものは手元にあったという「青い鳥」の世界。

作者は、ロボットにそれを与えるのは「物語の力」と言うのですが、どうなのでしょう。纏まっていない感想になってしまいました。^^;

2006/7