りぼんの読書ノート

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マンハッタンの怪人(フレデリック・フォーサイス)

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ミュージカル史上に燦然と輝く名作「オペラ座の怪人」の続編を、巨匠フォーサイスが書いた・・というだけで興味津々だったのです。

オペラ座の怪人」の舞台は、19世紀末のパリ。心を閉ざしたままオペラ座の地下世界を支配していたファントムは、歌姫クリスティーヌに生涯ただ一度の恋をしたあの運命の事件の後で、傷ついた心を抱えて闇の奥に姿を消しました。

それから13年後。舞台は20世紀のニューヨークに移ります。人間たちを憎み、金の亡者となって、巨万の富を得ていたファントムに、死の床にあった母から届いた手紙が、悪夢を呼び起こします。

世界一の歌姫となっていたラウル公爵夫人・クリスティーヌを、名を隠したまま、マンハッタンに築いたオペラ座のオープン公演に招聘するファントムの狙いは、どこにあるのでしょうか。そして、彼の魂に平安が訪れることはあるのでしょうか・・。

この本は、フォーサイスとウェイバーとの話し合いの結果生まれ、これを元にミュージカルに仕立て上げようとの構想もあったようです。でも、このストーリーはいただけません。ファントムが金や犯罪の悪臭にまみれているような設定はともかく、クリスティーヌとラウルには幸せな一生をすごして欲しかったのです。

何より「オペラ座の怪人」のラスト近くであんなことがあったなど、信じたくありません。映画版のラストがあのような形になったのは、「この作品がミュージカルになることはない」ってことですよね。

それに加えて、音楽なしでミュージカル原作を楽しむことは難しい。だから、舞台や映画を見たときのようには感動できません。通勤電車の中でも、頭の中では音楽が鳴り響いてはいたのですが・・。

2006/7