りぼんの読書ノート

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黄金の声の少女(ジャン=ジャック・シュル)

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ドイツ生まれの歌姫で映画女優イングリッド・カーフェン。彼女を妻に娶って、生涯愛し続けている作家・シェルが、妻への愛に捧げた一冊。

幼くしてヒットラーの前で歌い、映画監督ファスビンダーに愛され、サンローランのミューズとなり、ウォーホールを魅了した女性。というとラブロマンスのようですし、妻への惚気に聞こえます。確かにそうなのですが、この本の構成も内容も複雑です。

舞台へと向かうイングリッドと、彼女の登場を待つシェル。そのわずかの時間に、彼女の半生が振り返られる。舞台に登場したイングリッドと、シェルの視線が絡み合う。そのわずかの時間に、2人の夫婦生活が振り返られる。

往年の女優の身勝手さも、年老いた女優の無残さも描かれる。妻や、妻に対する愛を、無条件に美化している訳ではない。それでも、この本から感じ取れるのは、年老いたイングリッドに対しての愛情といたわり。

もうちょっと時系列で書いてくれれば理解しやすいのに! 彼女のことを、全然知らなかったのですから。

2006/4/16読了

イングリッド・カーフェンの写真を見つけました。^^
<img src=http://image.infoseek.co.jp/movie/mo/mo0572.jpg>