りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

光の帝国~常野物語(恩田陸)

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「光の帝国」なんていうと、ダース・ベイダー相手に宇宙船間ヤマトが戦うみたいな印象ですが、しっとりした作品です。

不思議な能力を持っている、「常野(とこの)」の人々の物語。一族のそれぞれの家系には、みな異なった能力が伝わっています。記憶を読み「しまう」者、遠くの出来事を知る者、将来を予知する者、さらには、クロスファイアーの淳子のような発火能力を持つ者や、数百年の長命を保つ者・・。

常夜の一族は驚くべき超能力集団なのですが、彼らはみな「穏やかで知的で、権力への志向を持たず、能力を隠しながら、ひっそりと生きて」いるのです。しかし彼らは、戦争協力を強制されたり、迫害されたり、異分子を排除しようとする「何か」を、ひき寄せてしまうこともあるのです。

彼らは何のために存在しているのか? どうやら、何か大きなことが起きそう・・という所で物語は終了。最近、続編が出たので、何かが明らかになるのかもしれません。でも、簡単に結論を出して欲しくないな。まだまだ「序章」的なところですから。ずっと読み続けていたいと思える、優しい連作短編集です。

2005/8