うかつにも第2作の『図書館内乱』から読み始めてしまったのですが、「逆順」もたまにはいいかもしれません。
だって『戦争』のほうが『内乱』よりもずっとおもしろい。このシリーズ、りあむさんが言うように、ベースはラブコメなのでしょう。図書館を巡る情勢は主人公たちを取り巻くシチュエーションであって、ラブコメの舞台背景と理解するのが、本質を突いている読み方と思います。ただこの「舞台背景」が、めちゃくちゃおもしろい。だからラブコメらしさが前面に出てくる第2巻よりも、背景を説明してくれる第1巻のほうが楽しめたのでしょう。
表現を取り締まる「メディア良化法」に基づき、合法的武装国家機関である「メディア良化隊」が、図書館に対して検閲権をふりかざす社会。図書館側は「自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る」との図書館法第4条に基づいて防衛隊を組織して対抗するのです。
もちろん武力衝突も起こります。死傷者も発生します。この時代、「読む自由」を確保するためには、武力を必要としているのです。そんな奇想天外な発想に込めたメッセージを、ラブコメにサラッと包んで
一気に読ませてしまう有川さん、お見事です。
一気に読ませてしまう有川さん、お見事です。
今、奇想天外な発想と言いましたけど、ナチスや始皇帝による焚書事件や、治安維持法によって思想統制が行われた時代があったことなどを思い出すと、「メディア良化法」というのは決してありえないことではありませんね。
2007/2