りぼんの読書ノート

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ビブリア古書堂の事件手帖 7(三上延)

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人気シリーズの完結編だけあって、今回取り上げられる古書は超大物である「ファーストフォリオ」です。世界でも238冊しか存在が確認されていない、シェイクスピア戯曲集の初版本であり、時価は数億円というしろもの。しかも「ファーストフォリオ」の存在が、栞子の母である智恵子の出奔にも関係していたというのです。

古書のためなら手段を選ばなかった故・久我山尚大が、後継者指名を拒絶した妾腹の娘・智恵子にかけた「呪い」とは何だったのか。尚大の側近であり、古書に関しては智恵子の師匠でもあったという吉原喜市老人は、何を企んでビブリオ書店に近づいたのか。これらの因縁の結果として、母・智恵子と娘・栞子が、今まで世に知られていなかった「ファーストフォリオ」のオークションで対決することになってしまいます。しかも3冊ある「ファーストフォリオ」は、全て複製という可能性もあるのです。

果たして母と娘はともに、祖父が仕組んだ罠に嵌ってしまったのでしょうか。そして母娘の宿命の対決結果は・・という展開は、多少無理筋な点もあるものの、よくできていました。何より、シェイクスピア作品によく登場する「わたしはわたしではない」の言葉やシチュエーションの使い方が見事だったと思います。

そして栞子と、バイト店員から店主の恋人へと格上げになった五浦大輔の2人の関係は、新たな展開を迎えることになりそうです。古書への興味を世間一般に広めた本シリーズはこれで完結になりますが、番外編やスピンオフはまだまだ続くとのこと。楽しみに待ちましょう。

2018/7


ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ】
ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち 
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常
ビブリア古書堂の事件手帖 3 栞子さんと消えない絆
ビブリア古書堂の事件手帖 4  栞子さんと二つの顔
ビブリア古書堂の事件手帖 5  栞子さんと繋がりの時
ビブリア古書堂の事件手帖 6  栞子さんと巡るさだめ
ビブリア古書堂の事件手帖 7 栞子さんと果てない舞台