りぼんの読書ノート

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ゲームウォーズ(アーネスト・クライン)

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1980年代に少年期を過ごした著者が没入した、ゲーム、映画、アニメの世界がふんだんに盛り込まれたクロスオーバー作品です。本書の原題である「Ready Player One」のタイトルで、スピルバーグによって映画化されました。

深刻な社会不安が現実世界を覆う中で、革新的な仮想現実ネットワーク「オアシス」だけが人々の心の拠り所になっている近未来世界。「オアシス」の開発者として巨万の富を築いたハリディが、「オアシス」内に隠したイースターエッグを最初に見つけた者に全財産を贈る遺書を残して死去したことで、世界的な「エッグハント」が始まります。

貧しい環境で育ち現実世界での人付き合いが苦手な高校生ウェイドが、真っ先に第一の鍵を探し当てたことで一躍有名人になるのですが、激しい競争に巻き込まれてしまいます。ライバルは「オアシス」内の親友エイチや、人気ブロガー女性のアルテミス、日本のオタク兄弟のダイトウとショウトウらの個人だけではありません。「オアシス」を支配しようとする悪徳大企業の手先が、手段を選ばずに勝負を挑んでくるのです。

1980年代を愛したハリディの仕掛けが楽しい作品です。アタリのゲームで勝負したり、SF映画の主人公になりきったり、オマケのフィギュアを集めたりするなどは、当然のこと。クライマックスでは、ついに手を結んだウェイドらの個人チームが、レオパルドンガンダムミネルバX、ライディーンという巨大ロボットに乗り込んで、悪の権化のメカゴジラと対決。敗れかけた最後の瞬間にウェイドが取り出したのが、なんとベータカプセル。そう、ウルトラマンに変身したのです。

とにかくド派手なストーリーなのですが、最後はウェイドとアルテミスの古典的な「ボーイ・ミーツ・ガール」ストーリーです。アバターでしか知らない相手との恋というのも、なかなかスリリング。自分自身とかけ離れたアバターを作ってはいけないのですね。

2018/8