りぼんの読書ノート

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女友だちの賞味期限(ジェニー・オフィル編著)

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友人同士の別れは、失恋とは異なってじわじわとやってくることが多いのかもしれません。そのせいか、激しい感情を伴わないケースも多いのですが、過去を振り返った時に感じる罪の意識は、恋愛の場合も友情の場合も同じように深いようです。

本書は、作家・批評家・エッセイストなどの著名人である著者たちが、自分自身の体験をつづった実話集です。出産、金銭問題、病気、失恋、結婚、三角関係、家族の死、宗教、野心、仕事などの友情が壊れたきっかけを明確に述べているのですが、行間には「裏」も感じてしまいます。どんなに仲の良い関係であっても「嫉妬」が存在していたように思えるのですが、いかがでしょう。

各章のタイトルと著者名をメモしておきます。互いに友人であった2人の作家が、それぞれに「別れた理由」を述べているラスト2章は圧巻です。オリーヴ・キタリッジの生活バージェス家の出来事のエリザベス・ストラウトの文章は、やはり辛辣。川上弘美さんの解説も、14番目の物語と思えるほど重厚です。

・終身友情権: 私のこと気兼ねなく利用してね(パトリシア・マルクス
・母親失格:  子供が産めない私とめでたく産んだ彼女たち(ケイト・バーンハイマー)
・巨匠の絵:  お金の心配はしないでと言ったくせに(メアリー・モリス)

・完璧な彼女: こよなく美しい彼女の許しがたい一面(リディア・ミレット)
潰瘍性大腸炎:私の病気を作品のネタにした女(ジェニファー・ギルモア)
・どろぼう猫: なぜ彼女は私のすべてを真似したか(ヌアー・アルサディール)
・薄情者:   人生の危機に私を見捨てた友人(アン・フッド)

・世界の終わり:ありがた迷惑だった神様の話(ジェニー・オフィル)
・優等生:   彼女が逝ってしまってから(ヘレン・シュルマン)
・被害妄想:  私を消耗させた友だちの「自分探し」(エリザベス・ストラウト)

・共犯の甘美:彼女の野心と私の秘密(エリッサ・シャッペル)
・絶交の理由〈A面〉:なぜ親友ヘザーを失ったか(エミリー・チェノウェス)
・絶交の理由〈B面〉:なぜ親友エミリーを失ったか(ヘザー・アベル

2017/2