りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

大江戸亀奉行日記(松井今朝子)

イメージ 1

時は幕末。舞台は上野不忍池。イシガメたちがのどかに暮らす池を仕切っているのが、「亀奉行」こと亀山左衛門尉俊寛。といっても、江戸城内にそんな役職があったわけではありません。これはあくまでも「亀の世界」の物語。

最近、不忍池では不穏な空気が立ち込めているのです。はじめは上方からやってきたクサガメでした。イシガメよりひとまわり大きく、無遠慮で、しかも臭いクサガメの横行を「亀奉行」は押さえきれないんですね。でも次にやってきたミドリガメの問題はその比ではありません。アメリカからやってきてたちまち大繁殖。不忍池はほとんど無法地帯と化してしまいます。

その反動で右傾化するカメたちや、フェミ論を唱えるカメたちが現れて、ついに戦争がはじまってしまいます。果たして「亀奉行」は事態を収拾することができるのでしょうか・・。本邦初の「生体環境時代小説」とのことですが、趣旨がよくわからない作品です。松井さんの普通の小説は、とっても緻密なんですけどね。ひょっとして、企画が悪かった?

2014/6