りぼんの読書ノート

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ストリップ・ティーズ(カール・ハイアセン)

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デミ・ムーア主演で映画化された作品です。フロリダで、別れた夫と娘の養育権を争っているストリップ・ダンサーのエリンは、ある晩ステージでのダンスの途中で酔っ払いに抱きつかれてしまいます。それ自体は酔客がハメを外した他愛もない行為だったのですが、その酔客を酒瓶でめった打ちにした別の紳士があらわれ、それが下院議員のディルベックだったことから、さまざまな人物が入り乱れ、事件はエスカレートしていくのです。

エレンに惚れていた客や被害者の縁者である弁護士が、ディルベックの正体に気づいて彼を脅迫するのですが、皆、謎の死を遂げてしまう。もちろんそんな野蛮な所業は下院議員の仕業ではなく、彼を擁立して意のままに扱っているフロリダの砂糖産業界が自分たちの利益を守るために手回ししたこと。エリンの身にも危険が迫ります。

そこに、チンケな犯罪者に成り下がっているエリンの別れた夫ダレルや、下院議員のフィクサーを自認するモルドウスキーや、エリンに好意を抱いているストリップ酒場の用心棒シャドや、フロリダ警察のガルシア刑事などがからんで、事態は混迷の度合いを深めていく・・というのはハイアセン得意の展開ですね。

下院議員の色情狂ぶりや、元夫の小悪党ぶりはあまりにも異常であり、残虐な場面も多いのですが、娘を守ろうとする母親が主人公であることが、この物語を爽やかなものにしてくれたようです。

2009/8

(写真はDVDのもの。本書の写真がどうしても見つかりませんでしたので)