りぼんの読書ノート

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不惑ガール(越智月子)

本書が書かれた2010年頃は「美熟女」や「アラフォー」がブームになっていた時代だったでしょうか。本書は、40代を迎えた元美女たちが「もうひと花」咲かせようとする物語です。

 

バブル最中の1989年の女子大ミスコンでスポットライトを浴びた苑子は、冴えない専業主婦になっていました。夫の関心を失い、反抗期の娘に手を焼いているだけではありません。美貌も体型も衰えを自覚しているところに、更年期まで始まりそうなのです。ミスコン仲間で一番冴えなかった由美子が、カリスマモデルとなって人気を保っているのは羨望の対象でしかありません。一番綺麗だった真理恵が、男運に恵まれずに2度も離婚し、微熟女バーのホステスになって愚痴っているのを聞いて心の平安を保つのが精一杯。

 

そんな苑子に由美子から久しぶりに連絡が入ります。どうやら由美子が活躍しているミセス向け雑誌が休刊となるようで、新たな企画のためにかつての仲間の手を借りたい様子。最初はしり込みしていた苑子でしたが、老害男や、浮気男や、若くて性格悪い女などの「アラフォー女性の共通の敵」が現れると、豊かな人脈を誇る真理恵を誘って参戦を決意。それぞれの道を歩んでいた3人の人生が再び交差することで、奇跡が起こるのでしょうか。

 

1980年代前半の「女子大ブーム世代」が「バブル娘」になり、さらに「アラフォー美熟女」に進化していったのですね。いつも同じ世代が中心にいたわけです。しかし明らかに男性側の需要で作られた「女子大生ブーム」に比べると、「アラフォー美熟女」は女性側の自己主張が強いように思えるだけマシかもしれません。ちなみに1965年生まれの著者も、その世代に属している当事者のようです。

 

2025/7