りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

狼の帝国(ジャン=クリストフ・グランジェ)

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実は、電車に置き忘れたのはこの本でした。あきらめて購入しました。文庫なのに1000円もする!もちろん、図書館に返却する前に、最後まで読み通し。

記憶障害に悩んでいたフランス高級官僚の妻のアンナは、覚えもないのに全面整形を受けていることに気づかされます。もはや自分の顔も、自分が何者かもわからなくなった彼女に下された診断は、「あなたは半年前までトルコ人だった」・・。

同じ頃パリのトルコ人街で、不法滞在のトルコ人女性が次々と、顔をつぶされて惨殺される事件が起きていました。この2つの事件が、ひとつの物語に集約されてくるのです。「狼」と呼ばれる、トルコの右派武装組織とは? アンナは自分を取り戻せるのか。そして彼女の正体は? 最後まで展開を読めない、傑作アクション・ミステリー。

自分が何者かわからない主人公といえばラドラムの「暗殺者」。最近マット・ディモン主演で「ボーン・アイデンティティ」として映画化されましたが、彼の場合は記憶喪失。本書のアンナのケースは、相当ヒネリが利いていますよ。

この小説、映画化されているそうですが、ジャン・レノが引退した悪徳刑事役で主役扱いとなっているにも拘わらず、ページを1/3も残した時点で、彼は殺されてしまうのです。いったい映画ではどういう結末にしたのでしょうか。そっちも気になります。

2006/2