りぼんの読書ノート

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星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)

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1970年代を代表する「ハードSF」の傑作だそうです。「ハードSM」でも、「ハードゲイ」でもありません(笑)。サイエンスの部分をじっくり書き込んだフィクションです。

近未来のある日、月面調査員が宇宙服をまとった死体を発見。なんとこの死体は死後5万年経過していることが判明し、彼の起源について大論争が持ち上がります。彼の生理的特長が人類と同じであることから地球古代文明説。地球上に古代文明の遺跡が存在しないことから異星人説。やがて彼と一緒に発見された日記の解読が進むに連れて、驚くべき真相が明らかになっていくのです。

敵も犯人もいず、アクションもハラハラドキドキの事件もなし。発見された事実を元にして、淡々と推論を積み上げていくだけ。それでも、生命と宇宙の神秘を垣間見ることになるラストでは大きな感動を覚え、「星を継ぐもの」というタイトルの意味を、深く考えさせられてしまったのです。やはり「傑作」です。

1978年の「スターウォーズ」以来、「ハードSF」よりもサイエンスの部分が欠落した「ファンタジー」が主流のようですね。例外は、琥珀から恐竜の遺伝子を取り出してみせたクライトンの「ジュラシック・パーク」くらいでしょうか。科学の未来を信じられのるかどうかに、SFの流行も影響されているようです。

2005/10