りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ミミズクとオリーブ(芦原すなお)

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色んな方がお奨めしていて、興味深く思ったので読んでみました。八王子の郊外に住む作家の「箱入り奥様」が、夫の友人の持ち込んでくる難事件を次々と解決してしまうという、安楽椅子探偵タイプのミステリーなのですが、それぞれの事件の謎は、それほどでもないのかも。むしろオリーブの木を植えている庭にミミズクが飛んでくる環境の中で、「しみじみ」と営まれている夫婦関係が、味わい深いものがありました。私は本格ミステリーには縁遠い読者ですので、これで十分。

いつも締め切りに追われてばかりで、頼りない作家(本人がモデル?)の夫と比べて、奥さんの素晴らしいこと! 可愛くて賢くて、笑顔を絶やさず、手料理の腕も抜群で、常に夫を気遣い、夫を立てることを忘れず・・・これは「理想の妻」なのでしょうか。

でもこんな奥さんなら、夫のすることは全部お見通しなんでしょうね。この本を読んで一瞬「こんな奥さん欲しい(謎)!」と思ったけど、冷静に考えると、こういう奥さんがいることは、凄いプレッシャーです。謹んで、ご遠慮申し上げます。

そもそも、こんな素晴らしい女性を「箱入り」にしておくことが損失です。想像するに、まだ40歳くらいのはずですし、お子さんもいないようだし、安楽椅子探偵をさせておくのはもったいない! だいたい、いきなり訪問してきた夫の友人にめちゃくちゃ手間の掛かる料理を注文されて、夫が友人とビール片手に食事をしながら話している間、ほとんど立ったままで台所と居間を忙しく往復しているかのご様子。男どもも、自分で食べるものくらい、手伝え!!!

・・・本筋と全然関係ない方向に、感想が飛んでいってしまいました。この本の「しみじみ感」は、いいんですけどね。

2007/4