唐の玄宗皇帝の時代。元県令の息子の王弁は、親の財産に寄生してダラダラとニート暮らし。不老不死を願う父親の命令で、黄土山にいると噂になっている仙人に貢物を持っていったら・・・そこにいたのは美少女だったのです。
「僕僕」と名乗る美少女仙人になぜか見込まれて弟子入りした王弁は、彼女に対してほのかな恋心を抱きながら一緒に旅に出るのですが、仙人との旅はハンパじゃありません。河伯や仙人仲間と出会い、道教趣味の玄宗皇帝にもお目通りが叶い、不思議な駿馬を乗りこなしたり、「混沌」に飲み込まれたりもしちゃいます。
ところが、王弁が僕僕仙人と共に過ごせる時間は限られていたのです。不老不死でないのはやむを得ないとしても、自分たちの力だけで天災に対応できるまでになった人間界に仙人の居場所はなくなりつつあり、さらには仙界と人界を切り離す陰謀まで起きていたのですから。王弁と僕僕の運命は、どうなってしまうのでしょう。
ほんわかとした雰囲気の、ユニークな小説ですね。なぜか王弁を拒まない僕僕ですが、実際の年齢や性別さえも不明な上に、時にはオールドスタイルの「白髪長髭の老人」にも変身しちゃうことを思い出すと、トラウマ化を気にして萎えてしまうあたり・・爆笑です。美女に対して「ニュー・ハーフ」の疑いを持つようなものでしょうか。
2007/3