りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2007/1 あなたのTシャツはどこから来たのか?(ピエトラ・リボリ)

1位にあげた『あなたのTシャツは・・』は、気鋭の経済学者が、グローバル経済に関する俗論を「ものがたり」形式で検証した本。複雑な世界経済の実態を、見事に解き明かしてくれました。

17世紀スペイン剣士の冒険譚『アラトリステ』もいいですね。もちろん楽しく読めましたが、ランク入りは全部読んでから。
1.あなたのTシャツはどこから来たのか? (ピエトラ・リボリ)
あなたのTシャツから世界政治・経済・歴史が見えてくる!? 気鋭の経済学者が、テキサスの綿農園、中国の繊維工場、アメリカの小売店、さらに古着の回収と流通過程を徹底調査して見えてきたのは意外なことに、グローバル化された自由経済のイメージとは程遠い、政治に支配された世界だったのでした・・。

2.麦の海に沈む果実 (恩田陸)
奇妙な全寮制学園で次々と起きる失踪事件。そして殺人までもが・・。学園の謎にとまどいおびえる、転入生の理瀬ですが、全ての謎は、語り手でもある理瀬自身の境遇と運命に関わっていたのです。「演じること」と「書くこと」が、記憶というフィルターを通した奇妙な合わせ鏡となって、読者を迷宮に誘い込みます。

3.コンタクト・ゾーン (篠田節子)
ビーチリゾートで内乱が発生し、外国人観光客まで虐殺される。間一髪、虐殺を逃れた日本人女性3人組がたどりついた村は、異なる価値と秩序がせめぎあう「異文化接触地点」でした。人間らしい生活とは、支配を求める男たちの権力闘争にはなく、女性的な共同体生活の中にあるとの、作者の主張はブレません。

4.コーデックス (レヴ・グロスマン)
蔵書から探し出すよう伯爵家から依頼された14世紀の古書は、研究家の間では有名な偽書らしい。では、なぜ、今、その本を? さらに不思議なことに、マニアの間で流行しているネットゲームにその本との類似点が登場するに及んで、謎はいっそう深まります。でも本当にミステリアスなのは、人の気持ちなのかも・・。

5.ダーク (桐野夏生)
桐野さんがメジャーデビューしたシリーズの主人公で、著者自身の分身とも思える桐野ミロを、ここまで無残に壊しちゃうのか。ミロは、父親を見殺しにして韓国へと密航し、彼女に関わる男たちを焼き尽くしながら、自ら犯罪にも手を染めていくのです。彼女もまた、このまま底辺に沈んでしまうのでしょうか。



2007/2/2