りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

世界の中心で愛を叫んだけもの(ハーラン・エリスン)

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20世紀後半に活躍した、奇想と情熱を併せ持つ著者の第1短編集です。原書は1969年に、邦訳は1973年に出版された作品ですが、現在でも色あせていません。

世界の中心で愛を叫んだけもの
世紀の殺人者が処刑を前にして叫んだのは「世界への愛」でした。彼は、宇宙世界の中心から排出された狂気の犠牲者だったのでしょうか。本来なら慈愛に満ちた人物だったのでしょうか。

「101号線の決闘」
あおり運転が批判を浴びていますが、これは凄まじい。交通法規を侵さない限りにおいて、武器を搭載した車同士の公道での決闘が認められているのです。主人公が決闘へと駆り立てられるきっかけはやはり、あおり運転でした。

「不死鳥」
はるか古代に海中に没した都市が、砂漠の中に浮き上がろうとしています。その都市の名前がオチですね。

「眠れ、安らかに」
人類が600年間平和を享受できたのは、平和の思念を発しつつ眠り続ける睡眠者のおかげだったのです。戦争を渇望する者たちは、その男を殺害しに深海へと向かうのですが・・。

サンタ・クロース対スパイダー」
スパイ映画のパロディです。悪役は、アメリカの著名な政治家にとり憑いて極悪非道を尽くす地球外生命体のようです。

「鈍いナイフで」
負傷して場末のキャバレーに逃げ込んだ男は、カリスマ性を持った人物でした。カリスマやアイドルは、空虚な人々に必要とされるエサにすぎないのでしょうか。

「ピトル・ポーウォブ課」
理解できない言葉で表現されているのは、人類をはるかに超越した次元の物語なのでしょう。アレの担当者がアレに宇宙を与えてしまったのは間違いだったのでしょうか。

読み切れていないのに返却期限が来てしまいました。後半はまた別途。これが大阪で読んだ最後の本になりました。吹田図書館には本当にお世話になりました。感謝申し上げます。

2019/4