りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

幻想電氣館(堀川アサコ)

イメージ 1

幻想郵便局の続編ですが、舞台も主人公も変わります。来世への入口であった登天郵便局が消滅してしまった後で、その役割を果たすようになったのは、駅裏にある寂れた映画館「ゲルマ電氣館」でした。亡くなった人はここに集まり、見る人によって内容が異なる「走馬灯」なる映画を見ることで、来世へと旅立っていくようになったのです。

本書の主人公は、シリトリが得意で霊視能力を持つものの、変人扱いされて仲間外れとなり、不登校となってしまっていた高校生のスミレ。幽霊っぽい老人の後をつけていって迷い込んだ映画館で、映写技師の有働青年に一目ぼれしたことから、ここでバイトを始めることになったのです。

幽霊の真理子さんは、前作からの連続出場。そういえば前作の最後で、当時は怨霊だった真理子さんが「乙姫市の駅裏にも似たような場所があるみたい。そこは郵便局じゃなくて映画館なんだけど」とつぶやいていました。彼女は今度は、映画館支配人のダリ髭おじさんと恋に落ちてしまい、まだ成仏できずにいたのです。

スミレが働き始めた途端、何者かがスクリーンを裏から破って現世に戻ってしまったという事件が発生。実はこれは、同級生からの謎めいた依頼、悪徳訪問販売員の連続行方不明事件、夫に蒸発されて映画館に娘を預けて働きに出る女性、イケメン有働君の謎めいた言動、さらにはスミレの父親の浮気にまで結びついていたのです。幽霊の真理子さんと一緒に捜査を始めたスミレは、孤独死した老婆の悪霊と出会うのですが・・。

「幻想シリーズ」は楽しいですね。続編もあり、『幻想郵便局』のアズサが再登場する作品もあるようです。読んでみようと思います。

2018/3