りぼんの読書ノート

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紅霞後宮物語 第2幕(雪村花菜)

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人皇后の関小玉を主人等とする紅霞後宮物語が、シリーズ化されました。前作で、女性の嫉妬と欲望が渦巻く後宮の闇を一刀両断にした一方で、処刑した高貴妃の遺児・鴻に愛情を注いでいる小玉の前に、新たな陰謀が浮上します。

それは「先帝の遺児」の出現でした。とんでもない傍系からいきなり皇帝となってしまった文林は静観しているようですが、宮中には動揺と策謀が広がって行きます。最悪の事態に備えるべく、小玉は夫・文琳と養子・鴻を抱えて、国外への逃走経路を確保しようとするのですが、「先帝の遺児」にはさらに隠された秘密があったのです。

著者は本書で、小玉への愛情以外の部分では「非情な外道」としか思えない、皇帝・文林の性格に焦点を当てたかったようです。その結論は「ただの外道」でなく「不憫でドMな外道」でした。ラストで小玉から「運命の出会い」について尋ねられ、「一度出会ったら、人生がめちゃくちゃになり、そのめちゃくちゃになった人生で満足してしまう、恐ろしいもの」と定義してしまうのですから。

ともあれ、非情な合理性で問題解決を図る皇帝・文林と、その斜め上から本能的に問題を解決してしまう天才皇后・小玉のコンビが人気を博することは、間違いないでしょう。実際、本編は既に「第6幕」まで、小玉の軍人時代を描いた物語は「第2作」まで出ていることに加えて、コミック化までされています。

2017/11