りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

みやこさわぎ(西條奈加)

イメージ 1

元神楽坂芸者で気が強い祖母・お蔦さんと2人で暮らしている少年・望の成長を見守りながら、ご近所の謎を解決していくミステリ・シリーズの第3作です。本作から、望は高校生になりました。

「四月のサンタクロース」
幼い娘の真心ちゃんが心を痛めているのは、一緒にレストランを開いている仲の良い夫婦が、離婚話まで出るほどの夫婦喧嘩をしたこと。男の嫉妬は情けないものです。

「みやこさわぎ」
神楽坂芸妓の中でダントツに若い都姐さんが、まさかの結婚詐欺を仕掛けた? 奪ったのは名前にちなんだ385万の婚約指輪だったのですが、どうやら裏の事情がありそうです。

「三つ子花火」
妻に逃げられてお蔦さんの家に三つ子を預かってもらったエリート夫は、どうやら妻に家事・育児全般を任せながら、妻のことを見下しているようです。実は妻の家出はお蔦さんが仕組んだようなのですが、料理を受け持っている望クンは、てんてこ舞い。

「アリのままで」
望の同級生で活発少女の翠に、優等生の女生徒からのラブレター? ところで望クンが心を惹かれている従妹の楓は、通称「虫部」と呼ばれる生物部に入ったようです。意外な趣味でした。

「百合の真贋」
仲の良い姉妹たちが遺産相続で揉めている原因は、亡き母が好んでいた百合の花を描いた絵画にあるようです。ご近所に住む新藤画伯が、その絵は自筆ではないと言い切ったことで解決するのですが、実は若描きの作品だったのです。「遺産相続とは、これ以上増えない親の愛情を競うもの」だそうです。

「鬼怒川便り」
泣き祖父の旧友から送られてきた鮎には、祖母の夫婦喧嘩の思い出がありました。戦災孤児だったというその旧友と祖父母には、どんな因縁があったのでしょう。

「ポワリン騒動」
望クンの同級生の森君の兄貴は、ハンサムながらアニオタなのです。そんな兄貴がバイトで稼いだ20万を女の子に貢いだというのですが、真相は意外なところにありました。でもこれは、やっぱり恋愛ですね。

2017/11


【「お蔦さんの神楽坂日記」シリーズ】
無花果の実のなるころに
いつもが消えた日