りぼんの読書ノート

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オードリー'sレディの格言(ルーシー・ホリデイ)

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女優の卵というには年もいきすぎ、ステージ・ママからも見放されたリビーの唯一の楽しみは、家でひとり好きな映画を見ることだけ。ようやくつかんだセリフのある役も不注意からクビになり、スターからのお誘いも妹に横取りされ、引っ越し先の部屋に届いたソファも注文とは違っていた中古品。

もう「ティファニーで朝食を」でも観ながら寝てしまおう・・と思ったところに現れたのは、大女優の守護霊でした。このソファは、憧れのオードリー・ヘップバーンが、「ローマの休日」のオーディションを受ける前に使っていたものだったのです。幻覚を見たと思って、精神的な病や脳腫瘍すら心配するリビーでしたが、オードリーはマイペースぶりを発揮。彼女の助言でリビーの生活は、うまく回り始めるのでしょうか。

著者と訳者が、オードリーの守護霊にオードリーらしい口調で語らせようとした苦心は、よく理解できます。ただ「格言」というほど、立派なことは言っていないんですね。要するに「自信を持つこと」と「個性で勝負すること」ということなのでしょう。

女優の夢をきっぱりあきらめて、両親の呪縛を脱することができたリビーですが、ラストはちょっと釈然としませんでした。モテ期も到来したとはいえ、スター俳優と幼馴染の親友を天秤にかけるような展開にしたのは、どうだったのでしょう。もっとも当時の大スターたちの多くが、私生活では問題を抱えていたようなので、オードリーの助言を恋人選びの参考にするべきではなかったのでは?

2017/8