スモーキーマウンテンという地名やペソという通貨によって、舞台となっている国の想像はつきますが、政府要人の不正も登場するので、やはり架空の国ということにしておきましょう。
巨大なゴミ捨て場に住み、ゴミを漁って生涯をすごす運命にある少年のラファエルとガルドは、ある日ゴミの山の中から小さなバッグを見つけます。中に入っていたのは奇妙な暗号で書かれた手紙と、どこのものかわからない鍵。浮浪児ラットの手を借りて謎解きに乗り出した少年たちでしたが、そこには国を揺るがしかねない秘密が隠されていたのです。
政治汚職も絡むサスペンス小説ですが、事件の背景も謎解きもシンプルですので、児童書としても通じる作品です。3人の個性的な少年たちが生き生きと描かれる反面、チョイ役で登場するイギリス人シスターがあくまで「善意の外国人」にすぎない点が、荒唐無稽な冒険物語にリアルさを感じさせてくれます。
イギリスとブラジルの共同制作で映画化もされたとのこと。当然ブラジルが舞台になっているのでしょうが、場所はどこであっても問題ないはずです。
2017/7