りぼんの読書ノート

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ブラインド・マッサージ 畢飛宇(ビー・フェイユイ)

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「ブラインド・マッサージ」とは、盲人によるマッサージのこと。南京のマッサージ店で働く盲目のマッサージ師たちの群像劇は、中国でベストセラーとなり、映画化もされました。

南京の「沙宗琪マッサージセンター」は、上海のマッサージ店に出稼ぎにきて苦難を共にした沙復明と張宗琪が共同出資で開いた店。対等の関係にある友人同士であっても、すれ違いは起こります。株に手を出して開業資金を失った王先生は、元同級生の沙復明を頼って職を求めてきましたが、恋人の小孔との仲もぎくしゃくし始めます。一方、その小孔に恋愛感情を抱いてしまった若い小馬は、戸惑いを隠せません。

全盲であるもののピアノの名手だった美貌の都紅は、チャリティショーで感動を煽る司会者に耐えられず、マッサージ師となる道を選びました。感情的な負債を負うことを嫌う都紅の性格は、やがて騒動を引き起こすことになります。ドラマチックな結婚を夢見る金嫣は、恋人と引き裂かれた男性にアタックしますが、少々引かれている模様。しかし表紙は、彼女が夢見る新婚初夜の様子ですね。

恋愛感情や人間関係や金銭問題に悩む視覚障碍者たちの姿が、個性豊かに描かれていきます。本書は、視覚障碍者の生活や感情を、健常者と比較して貶めることも、感動的に美化することもなく、等身大の姿で描いた作品なのです。

2016/11