りぼんの読書ノート

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ライラの冒険 1.黄金の羅針盤(フィリップ・プルマン)

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3部作の第1巻です。ダニエル・クレイグやニコル・キッドマンなど錚々たるキャストを揃え、潤沢な予算をかけて2008年に映画化されたものの、続編は制作されませんでした。どうやら、本書の無神論的思想に対して北米でボイコット運動が起きたことが理由のようです。内容は古典的なハイ・ファンタジーなのですが。

ただし、あまり好きになれない作品でした。理由は主人公の少女ライラのキャラクター。彼女が得意なのは嘘をつくことなんですね。その内容も浅く、物語の展開にもそれほど役立ってもおらず、必然性も感じられないのに、どうしてそういう設定なのか最後まで理解できなかったのです。

両親を亡くして学寮で育てられている11歳の少女ライラが、学寮長に毒を飲ませようとされた叔父アスリエル卿を救う場面から、物語が始まります。次いで彼女の前に現れた、権力者のコールター夫人に引き取られることになったライラは、自分が黄金の羅針盤と呼ばれる真理計を読み解くことができる世界でただひとりの人間であることを知らされます。

こうして「ライラの冒険」がはじまるのですが、この世界はかなり不思議。人間は皆、ダイモンと呼ばれる「魂を具現化させた存在」とともに生きているのです。まあ、ちょっと見はペットのような存在ですが、かなり意味不明。まあ、内心との自問自答を会話で表わすとか、後に明かされる「子供を魂と切り離す」という陰謀の場面でビジュアル的に役に立つ存在と思えば良いのでしょう。

さて、失踪した子供たちを救出するために立ち上がったライラは、船上生活者ジプシャンや、気球乗りや、空飛ぶ魔女たちや、鎧グマの一族たちと大冒険を繰り広げるのですが、それはどこに行きつくのでしょう。敵味方になっているアスリエル卿とコールター夫人が、ライラの実の両親であることは、早い時点から想像つきますよね。第2巻からはスケールが大きな話になってきます。

2016/6