りぼんの読書ノート

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リタとマッサン(植松三十里)

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昨年の朝ドラの放映を見こして書かれた小説なのでしょう。「日本ウイスキーの父」と称されるようになる竹鶴政孝と妻リタの夫婦愛を描いた物語。朝ドラと異なり、こちらは全て実名なのですが、かなりの部分は著者の脚色のようです。

2人の出会いは1919年でした。婚約者を第一次世界大戦で亡くし、医者だった父も喪って、失意のなかにいたリタは、妹が通うグラスゴー大学に留学していた竹鶴政孝と知り合います。日本でウイスキーを造りたいという政孝の夢に惹かれたリタは、幾多の障害を乗り越えて国際結婚を決断します。

日本で結婚生活をはじめた2人でしたが、政孝の夢が実現するまでには長い時間がかかりました。摂津酒造での計画頓挫。サントリー社長の鳥井信治郎に請われての、山崎蒸留所の立ち上げと、後の対立。自力で資本を集めての会社設立(後のニッカ)と余市蒸留所の立ち上げ。

主としてリタの視点から描かれた本書は、当時としては稀な国際結婚を全うし、遠い異国で夫の夢の実現を支えた良妻賢母の物語でした。リタが日本の武家の妻に思えるほどの脚色がなされていますが、たぶん朝ドラの雰囲気とも合っているのでしょう。事実とどう異なっているのかはわかりませんが、特に違和感はありません。

2016/1