りぼんの読書ノート

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馬律流青春双六-ふりだし(谷津矢車)

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著者は1986年生まれというから、まだ20代。小学校5年生の時にマンガ「るろうに剣心」を読んで時代劇にはまったという、恐ろしいくらいに若い書き手ですが、結構おもしろい。日経新聞の書評欄で昨年の作品である『蔦屋』が絶賛されていたので、まずは本書を手に取ってみました。

江戸で食い詰めた青年浪人・夏島丈衛門は、ひょんなことから「馬律流心学」を名乗る経営指南所「唯力舎」に入門。しかしそこは、石田梅岩の心学とは何の関係もないどころか、キャッチフレーズは「喧嘩最強」。頭脳も腕前も最強の美少女師範・たえを筆頭に、帳簿の魔術師・喜助、アイデアの宝庫・冬、人間ウソ発見器・平三郎らのメンバーが、ありとあらゆる難題解決をビジネスとする集団だったのです。

持ち込まれた事件は、犬の接待、大店の再建、巨悪の退治・・。経営危機に陥った大店の再建方法として、既成服展示による購買意欲増進や、空の戻り荷車活用による物流コスト削減という、現代ビジネスのアイデアを持ち込んでいるのは、少々手軽すぎますね。他の作品に期待してみましょう。

2015/11