りぼんの読書ノート

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土漠の花(月村了衛)

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東アフリカのジブチにPKOとして派遣された自衛隊部隊が、ソマリアとの国境地帯で戦闘に巻き込まれる物語。墜落した米軍ヘリの捜索・救助に向かった部隊は、保護を求めてきた現地女性たちを匿った途端に、武装勢力に急襲されて、全滅の危機に陥ってしまいます。

生き残った隊員たちは、さすがに「自衛」のために戦闘に突入していくのですが、実戦経験を持たない自衛隊は戦えるのでしょうか。彼らの戦闘能力はどうなのでしょうか。本書の戦闘行為には他国民を守るために戦うという意味合いもあり、まさに「集団的自衛権問題」を思わせるタイムリーな小説ですが、基本はエンターテインメントですね。

女性たちや襲撃者の正体は、比較的早い段階で明らかにされるのですが、戦闘が長引くに連れて、より強大な敵も登場。その一方で、なぜ自衛隊の救援部隊は来ないのか。本書では、事後になって、戦闘行為自体が隠蔽されてしまうのですが、いかにもありそうで怖いものを感じます。

2015/8