りぼんの読書ノート

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オリンポスの神々と7人の英雄 4.ハデスの館(リック・リオーダン)

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オリンポスの神々と人間たちを滅ぼして、世界を再びわが手にしようとたくらむガイアの復活まで、あと1月。冥界側と人間界にあるという2つの「死の扉」を閉ざしに旅立った7人のハーフたちの苦戦は佳境にはいってきます。

前巻のラストでタルタロスへと転落したパーシーとアナベスは、以前の戦いでスティクスの川に落ちて記憶喪失となったイアぺトスことボブや、冥界で唯一の「いい人」である巨人ダマセンの助けを得て、冥界側の扉を目指します。扉に近づくために不幸の女神アクリスのデスミストが必要なのですが、それは死に近づくことのようです。さらに、呪いの精アライや、夜の女神ニュクスなどが行く手を塞ぎ、ラスボスとして奈落そのものであるタルタロスが登場。

一方で、エピロスの「ハデスの館」にある人間界側の死の扉をめざすアルゴ2号の仲間たちにも、次々と試練が襲いかかります。ヘイゼルは魔術の女神ヘカテから、扉を守る魔女パシパエとの対決を予言されます。死者の軍隊を操る力を持ったディオクレティアヌスの王笏を手に入れるために、愛の神クビドに出会ったニコは、苦しい真実の愛を言葉にせざるをえませんでした。

フランクはベネチア穀物の神トリプトレモスと、パイパーはアルゴ2号に襲いかかった雪の女神キオネと対決。ジェイソンは南風の神アウステルの協力を得ることに成功。オギュギアの島に吹き飛ばされたリオは可憐なカリュプソへの思いを振り切って島を立ち去ります。

7人の旅の仲間とプラス1のニコは、試練の中でそれぞれに成長していくのですね。まさに少年少女冒険小説の真骨頂です。そして、冥界と人間界の2つの死の扉の前での、最後の戦いが本巻のクライマックス。

一番印象に残ったのは可憐なカリュプソの切なさですね。ギリシャ神話ではオデッセウスに去られ、「パイレーツ・オブ・カリビアン」では「破滅をもたらす海の魔女」として描かれたカリュプソのもとに、リオが再び戻ってくることはあるのでしょうか。セカンドシーズンにあたるこのシリーズは全5巻とのこと。次巻が最終巻になるようです。

2015/5