先月の『凍』に続いて、沢木耕太郎さんのドキュメンタリー『キャパの十字架』を読みました。『深夜特急』のイメージが強すぎて、今までまともに読んだことがなかったことを後悔。著者自身の観点を明確にした、「私ノンフィクション」の面白さを堪能しました。 大島真寿美さんの『あなたの本当の人生は』は、啓発もののようなタイトルで損をしている気がします。「書くこと」をテーマにした素晴らしい小説なだけに、少々惜しまれます。テーマをストレートに表したタイトルということは理解できるのですが。1.キャパの十字架(沢木耕太郎)
戦場カメラマン「キャパ」を一躍有名にした、一枚の写真。スペイン内戦時に撮られた「崩れ落ちる兵士」については、発表当初から真贋論争がありましたが、前後の写真、実風景との一致、多くの証言などから「真相」に迫ったスリリングな作品です。第17回司馬遼太郎賞の受賞作品です。
2.善き女の愛(アリス・マンロー
2012年の『ディア・ライフ』をもって引退を表明した著者ですが、未邦訳だった作品も多いのですね。本書は1998年に出版された、『イラクサ』の直前の短編集です。タイトルとなった短編は完成度が高く、自伝的要素が盛り込まれている作品には興味深いものがあります。
2012年の『ディア・ライフ』をもって引退を表明した著者ですが、未邦訳だった作品も多いのですね。本書は1998年に出版された、『イラクサ』の直前の短編集です。タイトルとなった短編は完成度が高く、自伝的要素が盛り込まれている作品には興味深いものがあります。
3.侍女の物語(マーガレット・アトウッド)
近未来のアメリカ東部。キリスト教原理主義者によるクーデター政権下の、徹底した「女性管理社会」を描いたフィクションです。名前も自由も奪われて、出産のための道具である「侍女」とさせられた女性は、脱出を図るのですが・・。30年前の作品ですが、人類にとって不幸なことに、不寛容な原理主義に基づくディストピアは「イスラム国」という形で現出してしまったように思えます。願わくは、「イスラム国」に対峙する国々が「敵に似てくる」ことなど起きませんように・・。
近未来のアメリカ東部。キリスト教原理主義者によるクーデター政権下の、徹底した「女性管理社会」を描いたフィクションです。名前も自由も奪われて、出産のための道具である「侍女」とさせられた女性は、脱出を図るのですが・・。30年前の作品ですが、人類にとって不幸なことに、不寛容な原理主義に基づくディストピアは「イスラム国」という形で現出してしまったように思えます。願わくは、「イスラム国」に対峙する国々が「敵に似てくる」ことなど起きませんように・・。
【その他今月読んだ本】
・マリアが語り遺したこと(コルム・トビーン)
・紋ちらしのお玉(河治和香)
・トニオ、天使の歌声(アン・ライス)
・輝天炎上(海堂尊)
・アイガー北壁・気象遭難(新田次郎)
・C&Y地球最強姉妹キャンディ(山本弘)
・上海ファクター(チャールズ・マッキャリー)
・金魚生活(楊逸)
・虚言少年(京極夏彦)
・女がいる(エステルハージ・ペーテル)
・アカペラ(山本文緒)
・天切り松闇がたり5(浅田次郎)
・遠い部屋、遠い奇跡(ダニヤール・ムイーヌッディーン)
・山内一豊と妻千代(中島道子)
・草原讃歌(ナンシー・ヒューストン)
・プロジェクトぴあの(山本弘)
・男ともだち(千早茜)
・魔の山(トーマス・マン)
・神去なあなあ夜話(三浦しをん)
・猫背の虎 動乱始末(真保裕一)
・マリアが語り遺したこと(コルム・トビーン)
・紋ちらしのお玉(河治和香)
・トニオ、天使の歌声(アン・ライス)
・輝天炎上(海堂尊)
・アイガー北壁・気象遭難(新田次郎)
・C&Y地球最強姉妹キャンディ(山本弘)
・上海ファクター(チャールズ・マッキャリー)
・金魚生活(楊逸)
・虚言少年(京極夏彦)
・女がいる(エステルハージ・ペーテル)
・アカペラ(山本文緒)
・天切り松闇がたり5(浅田次郎)
・遠い部屋、遠い奇跡(ダニヤール・ムイーヌッディーン)
・山内一豊と妻千代(中島道子)
・草原讃歌(ナンシー・ヒューストン)
・プロジェクトぴあの(山本弘)
・男ともだち(千早茜)
・魔の山(トーマス・マン)
・神去なあなあ夜話(三浦しをん)
・猫背の虎 動乱始末(真保裕一)
2015/4/29