りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

水底フェスタ(辻村深月)

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「ロック・フェスティバル」の誘致が成功してしたたかに生き延びている、六ヶ岳南麓の睦ッ代村。そこに住む高校生・湧谷広海は、請われて村長をしているモダンで温厚な父親のことは尊敬しているものの、大学生になって村を出る日を待ち望んでいます。

そんな広海が内包していた漠然とした閉塞感は、8歳年上で、地元出身のモデルである織場由貴美と出会うことで、火がついてしまいます。広海は由貴美に誘惑されますが、2人の関係は、都会で傷ついた年上の女性と田舎の少年の恋という、よくある話にはとどまりませんでした。彼女の目的は、母を自殺に追い込んだ村に復讐することだったのです。そして、事件が起こります。

由貴美が抱えている秘密が次々に明かされていき、そのたびに広海は翻弄されていくのですが、どうも由貴美が「謎の女」としては薄っぺらいのです。「むかつく」などと、中高生のような言葉を使っているのが、原因でしょうか。結局、彼女も利用されていたわけで、悲劇に巻き込まれていくことになるのですが・・。

どうも、この作家とは相性がよくないようです。彼女がデビューして間もないころにぼくのメジャースプーンを読んでがっかりし、その後ずっと遠ざかっていました。なんと直木賞を受賞したというので、数年前の作品を読んでみたのですが、今回もイマイチ。次は直木賞受賞作である『鍵のない夢を見る』か、本屋大賞を受賞したハケンアニメ』でも読んでみましょうか。でも順番待ちの列が長そうです。

2015/5