りぼんの読書ノート

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神去なあなあ夜話(三浦しをん)

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映画化もされた神去なあなあ日常の続編です。三重県の山奥で林業に携わることになった青年・平野勇気の「その後」の物語。映画では長澤まさみが演じた年上の女教師・石井直紀への恋は、進展したのでしょうか。

「第一夜:神去村の起源」
もともとは大きな池だったという神去が、どうして村になったのか。その背景には蛇神様と村娘の恋があったのです。そして悲しい別れも。「神去」という珍しい名前の起源も明かされます。

「第二夜:神去村の恋愛事情」
超人ヨキと嫉妬深い美女みきが結婚した事情が明かされます。意外なことにみきが攻めまくったのですね。勇気は直紀をドライブに誘いますが、まずは免許をとらないとね。

「第三夜:神去村のおやかたさん」
村のリーダー清一さんは、高校生のころから「おやかたさん」を務めていたそうです。どんな事情があったのでしょう。覚悟も背負っているものも重そうです。

「第四夜:神去村の事故、遭難」
山で捻挫してヨキと二人で一夜を明かした際に、ついに聞き出したのは、一夜にして「親の世代」を失った悲劇の物語でした。20年前の5月6日に何があったのでしょうか。

「第五夜:神去村の失せもの探し」
失せもの探しに霊験あらたかという山奥のお稲荷さんに、憧れの清一さんから貰った大切なボールペンを失くして動揺している直紀を連れて行った勇気でしたが、嫉妬心は隠せません。

「第六夜:神去村のクリスマス」
清一さんの一人息子・山太はクリスマスを知らなかった? 山の仲間でクリスマス・パーティを準備し始めますが、微妙に違っています。そもそも、こんなに木があるのに、モミの木がないのですから。

「最終夜:神去村はいつもなあなあ」
微妙にズレていても、山の仲間たちで開いたクリスマスは、いいパーティでした。でも、直紀の機嫌が悪かったのは、勇気が2人きりのイブを避けたからだったのです。勇気はついに「メドの権利の使用」を申し込むのですが・・。

著者の父親の出身地がモデルとなっているとのことです。著者の祖父は、実際に林業に従事していたのですね。キャラの濃い人物たちを登場させてコミカルな展開の小説ですが、背景にある自然への畏怖すら感じることができる作品でした。続々編も期待したいものです。

2015/4