地質学者の母を持つ天才小学生の竜崎知絵は、偶然出会った、冒険家の父を持つ野生派小学生の虎ノ門夕姫に助けられます。怪盗アラジン三世の一味に車で誘拐されそうになった知絵を、ローラースケートで追いかけた夕姫が助け出したのです。
怪盗アラジン三世は、知絵の発明を手に入れたがったのです。それは、大怪盗シュヴァルツシュターの上をゆく「世界一の盗み」をするために必要だというのですが、彼はいったい何を狙っているのでしょうか。そして、シュヴァルツシュターとは何者なのでしょうか。
著者は、自分の娘に読み聞かせるために、この作品を書き上げたとのこと。だから子供向けの本なのですが、過小評価してはいけません。近未来の物語であって宇宙にも飛び出していくのですが、宇宙船の理論や宇宙での危険などは、おろそかにはされていません。無重力状態での格闘シーンなどは笑えます。ストーリーはかなり荒唐無稽ですけれどね。
2人のイニシャルを並べると「C and Y」なので、2人合わせて「キャンディ」。どうやら、知絵と夕姫は姉妹になりそうです。続編もあるとのことですよ。自分の子供向けに書いた本と言うと、ニール・ゲイマンの 『墓場の少年』が思い出されますが、テイストはかなり異なります。それぞれ、自分が一番得意な分野の小説を書いたということですね。
2015/4