りぼんの読書ノート

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輝天炎上(海堂尊)

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「バチスタシリーズ完結編」であったケルベロスの肖像を、螺鈿迷宮の劣等医学生・天馬と、桜宮一族の生き残りの立場から描いた作品です。

桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から1年後。碧翠院の最後を看取ることとなった天馬は、同級生の冷泉深雪や新聞記者の別宮葉子とともに「日本の死因究明制度」を調べ始めます。それは彼らを、死後AI診断を巡る問題に引き込んでいくことになるのでした。

とにかく彼らがインタビューした相手が凄い。AI賛成派では、「がんがんトンネル魔人」の島津准教授、房総救急センターの彦根に、東城大の田口ら。反対派では法医学の笹井教授、斑鳩広報室長をバックに持つ警察の桜宮科捜研、浪速市監察医の国見教授ら。そして「北の事件」を企んだ桜宮一族の生き残りが、東城大への復讐を再始動。それは姉の小百合なのか、妹のすみれなのか、それとも・・。そして、破壊を予告された「ケルベルスの塔」ことAIセンターの開業日が近づいて着ます。

もちろんそこには、東城大の高階病院長や、厚生省の白鳥・姫宮コンビが現れます。これまでの著者のさまざまなシリーズの登場人物が、これでもかという感じで再登場。「終幕」にふさわしい活況を呈しますが、無理やり顔見世させられたような人も多く、ちょっと雑だったかも。

「塔は崩れても、人脈は崩れない」とのエンディングは前作通りですが、本書でますます「その後」の不明感が増した主要な人物が数名います。「未来編」は彼らを中心に展開されて行くのかもしれません。個人的には、「白鳥・田口コンビ」が登場しないと面白くないのですが・・。

2015/4